旧借地法の条文(全文)は以下のとおりです。カタカナをひらがなに変換したものと原文を掲載します。
弊所には当時の六法全書がありますので、刊行物形式のものが必要な場合にはご相談ください。
旧借地法の条文(全文)(カタカナをひらがなに変換する等したもの)
(旧)借地法(全文)(原文)
第一条〔借地権の定義〕
本法に於て借地権と称するは建物の所有を目的とする地上権及賃借権を謂ふ
第二条〔借地権の存続期間〕
①借地権の存続期間は石造、土造、煉瓦造又は之に類する堅固の建物の所有を目的とするものに付ては六十年、其の他の建物の所有を目的とするものに付ては三十年とす
但し建物か此の期間満了前朽廃したるときは借地権は之に因りて消滅す
②契約を以て堅固の建物に付三十年以上、其の他の建物に付二十年以上の存続期間を定めたるときは借地権は前項の規定に拘らす其の期間の満了に因りて消滅す
第三条〔契約を以て建物の種類及び構造を定めないときの借地権の存続期間〕
契約を以て借地権を設定する場合に於て建物の種類及構造を定めさるときは借地権は堅固の建物以外の建物の所有を目的とするものと看做す
第四条〔借地権者の契約更新の請求・建物等の買取請求権〕
①借地権消滅の場合に於て借地権者か契約の更新を請求したるときは建物ある場合に限り前契約と同一の条件を以て更に借地権を設定したるものと看做す但し土地所有者か自ら土地を使用することを必要とする場合其の他正当の事由ある場合に於て遅滞なく異議を述へたるときは此の限に在らす
②借地権者は契約の更新なき場合に於ては時価を以て建物其の他借地権者か権原に因りて土地に附属せしめたる物を買取るへきことを請求することを得
③第五条第一項の規定は第一項の場合に之を準用す
第五条〔契約更新の場合における借地権の存続期間〕
①当事者か契約を更新する場合に於ては借地権の存続期間は更新の時より起算し堅固の建物に付ては三十年、其の他の建物に付ては二十年とす此の場合に於ては第二条第一項但書の規定を準用す
②当事者か前項に規定する期間より長き期間を定めたるときは其の定に従ふ
第六条〔土地使用の継続による契約の法定更新〕
①借地権者借地権の消滅後土地の使用を継続する場合に於て土地所有者か遅滞なく異議を述へさりしときは前契約と同一の条件を以て更に借地権を設定したるものと看做す此の場合に於ては前条第一項の規定を準用す
②前項の場合に於て建物あるときは土地所有者は第四条第一項但書に規定する事由あるに非されは異議を述ふることを得す
第七条〔借地権の消滅前の建物の築造による契約の法定更新〕
借地権の消滅前建物か滅失したる場合に於て残存期間を超えて存続すへき建物の築造に対し土地所有者か遅滞なく異議を述へさりしときは借地権は建物滅失の日より起算し堅固の建物に付ては三十年間、其の他の建物に付ては二十年間存続す但し残存期間之より長きときは其の期間に依る
第八条〔借地権者が更に借地権を設定した場合への準用〕
前二条の規定は借地権者か更に借地権を設定したる場合に之を準用す
第八条の二〔裁判所による借地条件の変更等〕
①防火地域の指定、附近の土地の利用状況の変化其の他の事情の変更に因り現に借地権を設定するに於ては堅固の建物の所有を目的とすることを相当とするに至りたる場合に於て堅固の建物以外の建物を所有する旨の借地条件の変更に付当事者間に協議調はざるときは裁判所は当事者の申立に因り其の借地条件を変更することを得
②増改築を制限する旨の借地条件が存する場合に於て土地の通常の利用上相当とすべき増改築に付当事者間に協議調はざるときは裁判所は借地権者の申立に因り其の増改築に付ての土地所有者又は賃貸人の承諾に代はる許可を与ふることを得
③裁判所は前二項の裁判を為す場合に於て当事者間の利益の衡平を図る為必要あるときは他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ其の他相当の処分を為すことを得
④裁判所は前三項の裁判を為すには借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過其の他一切の事情を考慮することを要す
⑤借地権者が更に借地権を設定したる場合に於て必要あるときは裁判所は後の借地権者の申立に因り其の者の借地権及前の借地権者の借地権に付第一項乃至第三項の裁判を為すことを得
⑥裁判所は特に必要なしと認むる場合を除くの外第一項乃至第三項又は前項の裁判を為す前鑑定委員会の意見を聴くことを要す
第九条〔一時使用のため借地権を設定した場合の例外〕
第二条乃至前条の規定は臨時設備其の他一時使用の為借地権を設定したること明
なる場合には之を適用せす
第九条の二〔裁判所による賃借権の譲渡又は転貸の許可〕
①借地権者が賃借権の目的たる土地の上に存する建物を第三者に譲渡せんとする場合に於て其の第三者が賃借権を取得し又は転借するも賃貸人に不利となる虞なきに拘らず賃貸人が其の賃借権の譲渡又は転貸を承諾せざるときは裁判所は借地権者の申立に因り賃貸人の承諾に代はる許可を与ふることを得此の場合に於て当事者間の利益の衡平を図る為必要あるときは賃借権の譲渡若は転貸を条件とする借地条件の変更を命じ又は其の許可を財産上の給付に係らしむることを得
②裁判所は前項の裁判を為すには賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情其の他一切の事情を考慮することを要す
③第一項の申立ありたる場合に於て裁判所が定むる期間内に賃貸人が自ら建物の譲渡及賃借権の譲渡又は転貸を受くべき旨の申立を為したるときは裁判所は同項の規定に拘らず相当の対価及転貸の条件を定めて之を命ずることを得此の裁判に於ては当事者双方に対し其の義務を同時に履行すべきことを命ずることを得
④前項の申立は第一項の申立の取下ありたるとき又は不適法として同項の申立の却下ありたるときは其の効力を失ふ
⑤第三項の裁判ありたる後は第一項又は第三項の申立は当事者の合意あるに非ざれば之を取下ぐることを得ず
⑥裁判所は特に必要なしと認むる場合を除くの外第一項又は第三項の裁判を為す前鑑定委員会の意見を聴くことを要す
第九条の三〔裁判所による賃借権の譲渡の許可〕
①第三者が賃借権の目的たる土地の上に存する建物を競売又は公売に因り取得したる場合に於て其の第三者が賃借権を取得するも賃貸人に不利となる虞なきに拘らず
賃貸人が其の賃借権の譲渡を承諾せざるときは裁判所は其の第三者の申立に因り賃貸人の承諾に代はる許可を与ふることを得此の場合に於て当事者間の利益の衡平を図る為必要あるときは借地条件を変更し又は財産上の給付を命ずることを得
②前条第二項乃至第六項の規定は前項の申立ありたる場合に之を準用す
③第一項の申立は建物の代金を支払ひたる後二月内に限り之を為すことを得民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)第十九条の規定は同条に規定する期間内に第一項の申立を為したる場合に之を準用す
第九条の四〔準用規定〕
第九条の二の規定は土地の転借人と賃貸人との間に、前条の規定は土地の転借人より競売又は公売に因り建物を取得したる第三者と賃貸人との間に之を準用す但し賃貸人が第九条の二第三項(前条第二項に於て準用する場合を含む)の申立を為すには転貸人の承諾を得ることを要す
第十条〔建物等の取得者の賃貸人に対する買取請求権〕
第三者か賃借権の目的たる土地の上に存する建物其の他借地権者か権原に因りて土地に附属せしめたる物を取得したる場合に於て賃貸人か賃借権の譲渡又は転貸を承諾せさるときは賃貸人に対し時価を以て建物其の他借地権者か権原に因りて土地に附属せしめたる物を買取るへきことを請求することを得
第十一条〔借地権者に不利な契約条件の禁止〕
第二条、第四条乃至第八条の二、第九条の二(第九条の四に於て準用する場合を含む)及前条の規定に反する契約条件にして借地権者に不利なるものは之を定めさるものと看做す
第十二条〔事情変更による地代又は借賃の増減の請求〕
①地代又は借賃か土地に対する租税其の他の公課の増減若は土地の価格の昂低に因り又は比隣の土地の地代若は借賃に比較して不相当なるに至りたるときは契約の条件に拘らす当事者は将来に向て地代又は借賃の増減を請求することを得但し一定の期間地代又は借賃を増加せさるへき特約あるときは其の定に従ふ
②地代又は借賃の増額に付当事者間に協議調はざるときは其の請求を受けたる者は増額を正当とする裁判が確定するに至るまでは相当と認むる地代又は借賃を支払ふを以て足る
但し其の裁判が確定したる場合に於て既に支払ひたる額に不足あるときは不足額に年一割の割合に依る支払期後の利息を附して之を支払ふことを要す
③地代又は借賃の減額に付当事者間に協議調はざるときは其の請求を受けたる者は減額を正当とする裁判が確定するに至るまでは相当と認むる地代又は借賃の支払を請求することを得但し其の裁判が確定したる場合に於て既に支払を受けたる額が正当とせられたる地代又は借賃を超ゆるときは超過額に年一割の割合に依る受領の時よりの利息を附して之を返還することを要す
第十三条〔土地所有者又は賃貸人の先取特権〕
①土地所有者又は賃貸人は弁済期に至りたる最後の二年分の地代又は借賃に付借地権者が其の土地に於て所有する建物の上に先取特権を有す
②前項の先取特権は地上権又は賃貸借の登記を為すに因りて其の効力を保存す
第十四条〔土地所有者又は賃貸人の先取特権と他の権利との関係〕
前条の先取特権は他の権利に対して優先の効力を有す但し共益費用不動産保存不動産工事の先取特権及地上権又は賃貸借の登記前登記したる質権抵当権に後る
第十四条の二〔管轄裁判所〕
第八条の二第一項、第二項若は第五項、第九条の二第一項(第九条の四に於て準用する場合を含む)若は第三項(第九条の三第二項及第九条の四に於て準用する場合を含む)又は第九条の三第一項(第九条の四に於て準用する場合を含む)に定めたる事件は借地権の目的たる土地の所在地の地方裁判所の管轄とす但し当事者の合意ありたるときは其の所在地の簡易裁判所之を管轄することを妨げず
第十四条の三〔非訟事件手続法の準用等〕
①特別の定ある場合を除き前条の事件に関しては非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第一編の規定を準用す但し同法第六条、第七条、第十五条及第三十二条の規定は此の限に在らず
②本法に定むるものの外前条の事件に関し必要なる事項は最高裁判所之を定む
第十四条の四〔民事訴訟法の準用〕
裁判所職員の除斥、忌避及回避に関する民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)の規定は第十四条の二の事件に之を準用す
第十四条の五〔鑑定委員会〕
①鑑定委員会は三人以上の委員を以て之を組織す
②鑑定委員は左の者の中より各事件に付裁判所之を指定す但し特に必要あるときは其の他の者に就き之を指定することを得
一 地方裁判所が特別の知識経験ある者其の他適当なる者の中より毎年予め選任したる者
二 当事者が合意に依り選定したる者
③鑑定委員には最高裁判所の定むる旅費、日当及宿泊料を支給す
第十四条の六〔審問〕
①裁判所は審問期日を開き当事者の陳述を聴くことを要す
②当事者は他の当事者の審問に立会ふことを得
第十四条の七〔事実の探知及び証拠調〕
①裁判所は職権を以て事実の探知を為し及職権を以て又は申出に因り必要と認むる証拠調を為すべし
②証拠調は民事訴訟の例に依り之を為す
第十四条の八〔審理終結の宣言〕
裁判所は審理を終結するときは審問期日に於て其の旨を宣言すべし
第十四条の九〔即時抗告〕
①第八条の二第一項乃至第三項若は第五項、第九条の二第一項(第九条の四に於て準用する場合を含む)若は第三項(第九条の三第二項及第九条の四に於て準用する場合を含む)又は第九条の三第一項(第九条の四に於て準用する場合を含む)の裁判に対しては即時抗告を為すことを得其の期間は之を二週間とす
②前項の裁判は確定するに非ざれば其の効力を生ぜず
第十四条の十〔裁判の効力〕
前条第一項の裁判は当事者又は最終の審問期日後裁判確定前の承継人に対し其の効力を有す
第十四条の十一 〔強制執行に関して裁判上の和解と同一の効力を有する給付を命ずる裁判〕
第八条の二第三項若は第五項、第九条の二第三項(第九条の三第二項及第九条の四に於て準用する場合を含む)又は第九条の三第一項(第九条の四に於て準用する場合を含む)の裁判にして給付を命ずるものは強制執行に関しては裁判上の和解と同一の効力を有す
第十四条の十二〔裁判の失効〕
第九条の二第一項(第九条の四に於て準用する場合を含む)の裁判は其の効力を生じたる後六月内に借地権者が建物の譲渡を為さざるときは其の効力を失ふ但し此の期間は其の裁判に於て之を伸長し又は短縮することを得
第十四条の十三〔民事訴訟法等の準用〕
民事訴訟法第百三十六条及第二百三条(和解に関する部分に限る)並に民事調停法第二十条の規定は第十四条の二の事件に之を準用す
第十四条の十四〔記録の閲覧請求〕
①当事者及利害関係を疎明したる第三者は第十四条の二の事件の記録の閲覧を裁判所書記官に請求することを得但し記録の保存又は裁判所の執務に支障あるときは此の限に在らず
②民事訴訟法第百五十一条第三項及第四項の規定は前項の記録に之を準用する
第十四条の十五 〔民事訴訟法の準用〕
民事訴訟法第百四条(第二項中同法第八十九条乃至第九十四条の規定を準用する部分を除く)の規定は第九条の二第四項(第九条の三第二項及第九条の四に於て準用する場合を含む)の場合に之を準用す
附 則
第十五条〔施行期日〕
本法施行の期日は勅令を以て之を定む
〔大正一〇年五月勅令二〇七号により、大正一〇・五・一五から施行〕
第十六条〔施行地区〕
本法施行の地区は勅令を以て之を定む
〔大正一〇年五月勅令二〇七号により、施行地区を指定〕
第十七条〔本法施行前の地上権又は借地権で建物の所有を目的とするものの存続期間〕
①本法施行前設定したる地上権又は賃借権にして建物の所有を目的とするものの存続期間は既に経過したる期間を算入し堅固の建物の所有を目的とするものに付ては三十年、其の他の建物の所有を目的とするものに付ては二十年とす但し建物か此の期間満了前朽廃したるときは借地権は之に因りて消滅し堅固の建物に付三十年を超え、其の他の建物に付二十年を超ゆる存続期間の定ある地上権は其の期間の満了に因りて消滅す
②建物の所有を目的とする地上権又は賃借権に付存続期間の定なき場合に於て本法施行前二十年以上を経過したるときは当事者は二十年毎に契約を更新したるものと看做し前項の規定を適用す
③第一項の規定は臨時設備其の他一時使用の為設定したること明なる地上権及賃貸借に付之を適用せす
第十八条 〔現に存する地上権又は借地権で建物の所有を目的とするものへの本法の適用〕
前条に規定するものを除くの外本法施行の際現に存する地上権又は賃借権にして建物の所有を目的とするものに付亦本法を適用す
附 則 〔昭和四六年四月六日法律第四二号〕
この法律〔中略〕は、昭和四十六年七月一日から施行する。
旧借地法の条文(全文)(原文)
(旧)借地法(全文)(原文)
第一条〔借地権の定義〕
本法ニ於テ借地権ト称スルハ建物ノ所有ヲ目的トスル地上権及賃借権ヲ謂フ
第二条〔借地権の存続期間〕
①借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ六十年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ三十年トス
但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス
②契約ヲ以テ堅固ノ建物ニ付三十年以上、其ノ他ノ建物ニ付二十年以上ノ存続期間ヲ定メタルトキハ借地権ハ前項ノ規定ニ拘ラス其ノ期間ノ満了ニ因リテ消滅ス
第三条〔契約を以て建物の種類及び構造を定めないときの借地権の存続期間〕
契約ヲ以テ借地権ヲ設定スル場合ニ於テ建物ノ種類及構造ヲ定メサルトキハ借地権ハ堅固ノ建物以外ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノト看做ス
第四条〔借地権者の契約更新の請求・建物等の買取請求権〕
①借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
②借地権者ハ契約ノ更新ナキ場合ニ於テハ時価ヲ以テ建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
③第五条第一項ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五条〔契約更新の場合における借地権の存続期間〕
①当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ三十年、其ノ他ノ建物ニ付テハ二十年トス此ノ場合ニ於テハ第二条第一項但書ノ規定ヲ準用ス
②当事者カ前項ニ規定スル期間ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ定ニ従フ
第六条〔土地使用の継続による契約の法定更新〕
①借地権者借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ前条第一項ノ規定ヲ準用ス
②前項ノ場合ニ於テ建物アルトキハ土地所有者ハ第四条第一項但書ニ規定スル事由アルニ非サレハ異議ヲ述フルコトヲ得ス
第七条〔借地権の消滅前の建物の築造による契約の法定更新〕
借地権ノ消滅前建物カ滅失シタル場合ニ於テ残存期間ヲ超エテ存続スヘキ建物ノ築造ニ対シ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ借地権ハ建物滅失ノ日ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ三十年間、其ノ他ノ建物ニ付テハ二十年間存続ス但シ残存期間之ヨリ長キトキハ其ノ期間ニ依ル
第八条〔借地権者が更に借地権を設定した場合への準用〕
前二条ノ規定ハ借地権者カ更ニ借地権ヲ設定シタル場合ニ之ヲ準用ス
第八条ノ二〔裁判所による借地条件の変更等〕
①防火地域ノ指定、附近ノ土地ノ利用状況ノ変化其ノ他ノ事情ノ変更ニ因リ現ニ借地権ヲ設定スルニ於テハ堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルコトヲ相当トスルニ至リタル場合ニ於テ堅固ノ建物以外ノ建物ヲ所有スル旨ノ借地条件ノ変更ニ付当事者間ニ協議調ハザルトキハ裁判所ハ当事者ノ申立ニ因リ其ノ借地条件ヲ変更スルコトヲ得
②増改築ヲ制限スル旨ノ借地条件ガ存スル場合ニ於テ土地ノ通常ノ利用上相当トスベキ増改築ニ付当事者間ニ協議調ハザルトキハ裁判所ハ借地権者ノ申立ニ因リ其ノ増改築ニ付テノ土地所有者又ハ賃貸人ノ承諾ニ代ハル許可ヲ与フルコトヲ得
③裁判所ハ前二項ノ裁判ヲ為ス場合ニ於テ当事者間ノ利益ノ衡平ヲ図ル為必要アルトキハ他ノ借地条件ヲ変更シ、財産上ノ給付ヲ命ジ其ノ他相当ノ処分ヲ為スコトヲ得
④裁判所ハ前三項ノ裁判ヲ為スニハ借地権ノ残存期間、土地ノ状況、借地ニ関スル従前ノ経過其ノ他一切ノ事情ヲ考慮スルコトヲ要ス
⑤借地権者ガ更ニ借地権ヲ設定シタル場合ニ於テ必要アルトキハ裁判所ハ後ノ借地権者ノ申立ニ因リ其ノ者ノ借地権及前ノ借地権者ノ借地権ニ付第一項乃至第三項ノ裁判ヲ為スコトヲ得
⑥裁判所ハ特ニ必要ナシト認ムル場合ヲ除クノ外第一項乃至第三項又ハ前項ノ裁判ヲ為ス前鑑定委員会ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
第九条〔一時使用のため借地権を設定した場合の例外〕
第二条乃至前条ノ規定ハ臨時設備其ノ他一時使用ノ為借地権ヲ設定シタルコト明
ナル場合ニハ之ヲ適用セス
第九条ノ二〔裁判所による賃借権の譲渡又は転貸の許可〕
①借地権者ガ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物ヲ第三者ニ譲渡セントスル場合ニ於テ其ノ第三者ガ賃借権ヲ取得シ又ハ転借スルモ賃貸人ニ不利トナル虞ナキニ拘ラズ賃貸人ガ其ノ賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ承諾セザルトキハ裁判所ハ借地権者ノ申立ニ因リ賃貸人ノ承諾ニ代ハル許可ヲ与フルコトヲ得此ノ場合ニ於テ当事者間ノ利益ノ衡平ヲ図ル為必要アルトキハ賃借権ノ譲渡若ハ転貸ヲ条件トスル借地条件ノ変更ヲ命ジ又ハ其ノ許可ヲ財産上ノ給付ニ係ラシムルコトヲ得
②裁判所ハ前項ノ裁判ヲ為スニハ賃借権ノ残存期間、借地ニ関スル従前ノ経過、賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ必要トスル事情其ノ他一切ノ事情ヲ考慮スルコトヲ要ス
③第一項ノ申立アリタル場合ニ於テ裁判所ガ定ムル期間内ニ賃貸人ガ自ラ建物ノ譲渡及賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ受クベキ旨ノ申立ヲ為シタルトキハ裁判所ハ同項ノ規定ニ拘ラズ相当ノ対価及転貸ノ条件ヲ定メテ之ヲ命ズルコトヲ得此ノ裁判ニ於テハ当事者双方ニ対シ其ノ義務ヲ同時ニ履行スベキコトヲ命ズルコトヲ得
④前項ノ申立ハ第一項ノ申立ノ取下アリタルトキ又ハ不適法トシテ同項ノ申立ノ却下アリタルトキハ其ノ効力ヲ失フ
⑤第三項ノ裁判アリタル後ハ第一項又ハ第三項ノ申立ハ当事者ノ合意アルニ非ザレバ之ヲ取下グルコトヲ得ズ
⑥裁判所ハ特ニ必要ナシト認ムル場合ヲ除クノ外第一項又ハ第三項ノ裁判ヲ為ス前鑑定委員会ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
第九条ノ三〔裁判所による賃借権の譲渡の許可〕
①第三者ガ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物ヲ競売又ハ公売ニ因リ取得シタル場合ニ於テ其ノ第三者ガ賃借権ヲ取得スルモ賃貸人ニ不利トナル虞ナキニ拘ラズ
賃貸人ガ其ノ賃借権ノ譲渡ヲ承諾セザルトキハ裁判所ハ其ノ第三者ノ申立ニ因リ賃貸人ノ承諾ニ代ハル許可ヲ与フルコトヲ得此ノ場合ニ於テ当事者間ノ利益ノ衡平ヲ図ル為必要アルトキハ借地条件ヲ変更シ又ハ財産上ノ給付ヲ命ズルコトヲ得
②前条第二項乃至第六項ノ規定ハ前項ノ申立アリタル場合ニ之ヲ準用ス
③第一項ノ申立ハ建物ノ代金ヲ支払ヒタル後二月内ニ限リ之ヲ為スコトヲ得民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)第十九条ノ規定ハ同条ニ規定スル期間内ニ第一項ノ申立ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第九条ノ四〔準用規定〕
第九条ノ二ノ規定ハ土地ノ転借人ト賃貸人トノ間ニ、前条ノ規定ハ土地ノ転借人ヨリ競売又ハ公売ニ因リ建物ヲ取得シタル第三者ト賃貸人トノ間ニ之ヲ準用ス但シ賃貸人ガ第九条ノ二第三項(前条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ申立ヲ為スニハ転貸人ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス
第十条〔建物等の取得者の賃貸人に対する買取請求権〕
第三者カ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ取得シタル場合ニ於テ賃貸人カ賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ承諾セサルトキハ賃貸人ニ対シ時価ヲ以テ建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
第十一条〔借地権者に不利な契約条件の禁止〕
第二条、第四条乃至第八条ノ二、第九条ノ二(第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス
第十二条〔事情変更による地代又は借賃の増減の請求〕
①地代又ハ借賃カ土地ニ対スル租税其ノ他ノ公課ノ増減若ハ土地ノ価格ノ昂低ニ因リ又ハ比隣ノ土地ノ地代若ハ借賃ニ比較シテ不相当ナルニ至リタルトキハ契約ノ条件ニ拘ラス当事者ハ将来ニ向テ地代又ハ借賃ノ増減ヲ請求スルコトヲ得但シ一定ノ期間地代又ハ借賃ヲ増加セサルヘキ特約アルトキハ其ノ定ニ従フ
②地代又ハ借賃ノ増額ニ付当事者間ニ協議調ハザルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ増額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマデハ相当ト認ムル地代又ハ借賃ヲ支払フヲ以テ足ル
但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヒタル額ニ不足アルトキハ不足額ニ年一割ノ割合ニ依ル支払期後ノ利息ヲ附シテ之ヲ支払フコトヲ要ス
③地代又ハ借賃ノ減額ニ付当事者間ニ協議調ハザルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ減額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマデハ相当ト認ムル地代又ハ借賃ノ支払ヲ請求スルコトヲ得但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヲ受ケタル額ガ正当トセラレタル地代又ハ借賃ヲ超ユルトキハ超過額ニ年一割ノ割合ニ依ル受領ノ時ヨリノ利息ヲ附シテ之ヲ返還スルコトヲ要ス
第十三条〔土地所有者又は賃貸人の先取特権〕
①土地所有者又ハ賃貸人ハ弁済期ニ至リタル最後ノ二年分ノ地代又ハ借賃ニ付借地権者ガ其ノ土地ニ於テ所有スル建物ノ上ニ先取特権ヲ有ス
②前項ノ先取特権ハ地上権又ハ賃貸借ノ登記ヲ為スニ因リテ其ノ効力ヲ保存ス
第十四条〔土地所有者又は賃貸人の先取特権と他の権利との関係〕
前条ノ先取特権ハ他ノ権利ニ対シテ優先ノ効力ヲ有ス但シ共益費用不動産保存不動産工事ノ先取特権及地上権又ハ賃貸借ノ登記前登記シタル質権抵当権ニ後ル
第十四条ノ二〔管轄裁判所〕
第八条ノ二第一項、第二項若ハ第五項、第九条ノ二第一項(第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)若ハ第三項(第九条ノ三第二項及第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)又ハ第九条ノ三第一項(第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ定メタル事件ハ借地権ノ目的タル土地ノ所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス但シ当事者ノ合意アリタルトキハ其ノ所在地ノ簡易裁判所之ヲ管轄スルコトヲ妨ゲズ
第十四条ノ三〔非訟事件手続法の準用等〕
①特別ノ定アル場合ヲ除キ前条ノ事件ニ関シテハ非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第一編ノ規定ヲ準用ス但シ同法第六条、第七条、第十五条及第三十二条ノ規定ハ此ノ限ニ在ラズ
②本法ニ定ムルモノノ外前条ノ事件ニ関シ必要ナル事項ハ最高裁判所之ヲ定ム
第十四条ノ四〔民事訴訟法の準用〕
裁判所職員ノ除斥、忌避及回避ニ関スル民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)ノ規定ハ第十四条ノ二ノ事件ニ之ヲ準用ス
第十四条ノ五〔鑑定委員会〕
①鑑定委員会ハ三人以上ノ委員ヲ以テ之ヲ組織ス
②鑑定委員ハ左ノ者ノ中ヨリ各事件ニ付裁判所之ヲ指定ス但シ特ニ必要アルトキハ其ノ他ノ者ニ就キ之ヲ指定スルコトヲ得
一 地方裁判所ガ特別ノ知識経験アル者其ノ他適当ナル者ノ中ヨリ毎年予メ選任シタル者
二 当事者ガ合意ニ依リ選定シタル者
③鑑定委員ニハ最高裁判所ノ定ムル旅費、日当及宿泊料ヲ支給ス
第十四条ノ六〔審問〕
①裁判所ハ審問期日ヲ開キ当事者ノ陳述ヲ聴クコトヲ要ス
②当事者ハ他ノ当事者ノ審問ニ立会フコトヲ得
第十四条ノ七〔事実の探知及び証拠調〕
①裁判所ハ職権ヲ以テ事実ノ探知ヲ為シ及職権ヲ以テ又ハ申出ニ因リ必要ト認ムル証拠調ヲ為スベシ
②証拠調ハ民事訴訟ノ例ニ依リ之ヲ為ス
第十四条ノ八〔審理終結ノ宣言〕
裁判所ハ審理ヲ終結スルトキハ審問期日ニ於テ其ノ旨ヲ宣言スベシ
第十四条ノ九〔即時抗告〕
①第八条ノ二第一項乃至第三項若ハ第五項、第九条ノ二第一項(第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)若ハ第三項(第九条ノ三第二項及第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)又ハ第九条ノ三第一項(第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得其ノ期間ハ之ヲ二週間トス
②前項ノ裁判ハ確定スルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十四条ノ十〔裁判の効力〕
前条第一項ノ裁判ハ当事者又ハ最終ノ審問期日後裁判確定前ノ承継人ニ対シ其ノ効力ヲ有ス
第十四条ノ十一 〔強制執行に関して裁判上の和解と同一の効力を有する給付を命ずる裁判〕
第八条ノ二第三項若ハ第五項、第九条ノ二第三項(第九条ノ三第二項及第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)又ハ第九条ノ三第一項(第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ裁判ニシテ給付ヲ命ズルモノハ強制執行ニ関シテハ裁判上ノ和解ト同一ノ効力ヲ有ス
第十四条ノ十二〔裁判の失効〕
第九条ノ二第一項(第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ裁判ハ其ノ効力ヲ生ジタル後六月内ニ借地権者ガ建物ノ譲渡ヲ為サザルトキハ其ノ効力ヲ失フ但シ此ノ期間ハ其ノ裁判ニ於テ之ヲ伸長シ又ハ短縮スルコトヲ得
第十四条ノ十三〔民事訴訟法等の準用〕
民事訴訟法第百三十六条及第二百三条(和解ニ関スル部分ニ限ル)並ニ民事調停法第二十条ノ規定ハ第十四条ノ二ノ事件ニ之ヲ準用ス
第十四条ノ十四〔記録の閲覧請求〕
①当事者及利害関係ヲ疎明シタル第三者ハ第十四条ノ二ノ事件ノ記録ノ閲覧ヲ裁判所書記官ニ請求スルコトヲ得但シ記録ノ保存又ハ裁判所ノ執務ニ支障アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
②民事訴訟法第百五十一条第三項及第四項ノ規定ハ前項ノ記録ニ之ヲ準用スル
第十四条ノ十五 〔民事訴訟法の準用〕
民事訴訟法第百四条(第二項中同法第八十九条乃至第九十四条ノ規定ヲ準用スル部分ヲ除ク)ノ規定ハ第九条ノ二第四項(第九条ノ三第二項及第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ場合ニ之ヲ準用ス
附 則
第十五条〔施行期日〕
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔大正一〇年五月勅令二〇七号により、大正一〇・五・一五から施行〕
第十六条〔施行地区〕
本法施行ノ地区ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔大正一〇年五月勅令二〇七号により、施行地区を指定〕
第十七条〔本法施行前の地上権又は借地権で建物の所有を目的とするものの存続期間〕
①本法施行前設定シタル地上権又ハ賃借権ニシテ建物ノ所有ヲ目的トスルモノノ存続期間ハ既ニ経過シタル期間ヲ算入シ堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ三十年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ二十年トス但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅シ堅固ノ建物ニ付三十年ヲ超エ、其ノ他ノ建物ニ付二十年ヲ超ユル存続期間ノ定アル地上権ハ其ノ期間ノ満了ニ因リテ消滅ス
②建物ノ所有ヲ目的トスル地上権又ハ賃借権ニ付存続期間ノ定ナキ場合ニ於テ本法施行前二十年以上ヲ経過シタルトキハ当事者ハ二十年毎ニ契約ヲ更新シタルモノト看做シ前項ノ規定ヲ適用ス
③第一項ノ規定ハ臨時設備其ノ他一時使用ノ為設定シタルコト明ナル地上権及賃貸借ニ付之ヲ適用セス
第十八条 〔現に存する地上権又は借地権で建物の所有を目的とするものへの本法の適用〕
前条ニ規定スルモノヲ除クノ外本法施行ノ際現ニ存スル地上権又ハ賃借権ニシテ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付亦本法ヲ適用ス
附 則 〔昭和四六年四月六日法律第四二号〕
この法律〔中略〕は、昭和四十六年七月一日から施行する。

