MENU
辻田寛人
弁護士
 幅広く弁護士業務を行っており、中でも不動産業者様の顧問業務を多く取り扱っております。
 不動産業者様が日常的に疑問を持たれる法律問題についてすぐにご回答できるように日々研鑽を重ねています。顧問業務に限らず個別の案件のご依頼についても多数の経験を有しています。
 お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

Q 共有状態を解消したいです。具体的には、他の共有者の共有持分を買い取りたいです。

A 任意交渉がととのわなければ、調停又は訴訟で共有物分割請求を行うことが考えられます。裁判所においても和解が成立しない場合には判決によりますが、判決において買い取り(全面的価格賠償)の方法により分割が認められるためには、裁判例上、考慮要素が示されています。

共有物分割請求について

 共有者は、いつでも共有物の分割請求を行うことができます(民法256条第1項)。共有物の分割について共有者間で協議がととのわないとき、または協議をすることができないときは、共有物の分割を求めて裁判所に請求することができます。裁判手続きとしては調停又は訴訟を選ぶことができます。調停は主として話し合いの場であり、訴訟では判決に向けた手続きという大まかな整理ができますが、訴訟においても和解協議は行われ、特に和解のための協議を行うことが適切と考えられる場合には、訴訟を提起しても調停手続きに付される場合があります。調停に付された場合に協議がととのわなければ訴訟手続きに戻ります。裁判手続き前に協議を行ったけれどもととのわなかった場合や共有物分割にかかる協議を行いたい旨の通知を送ったものの無視された等の事情があれば、訴訟手続きを選択することが多いと思われます。

 なお、共有物分割請求訴訟はいわゆる固有必要的共同訴訟ですので、共有者の全員を被告として訴訟提起する必要があります。

 共有物分割請求訴訟では、協議がととのわなかったとしても、判決により共有物の分割の結果がでます。判決が出たけれど、分割できなかったということはありません。

 判決の種類は、①現物分割、②換価分割、③全面的価格賠償の3種類です。

 ① 現物分割とは、共有物自体を分割する方法です。不動産の場合には登記簿上分筆すること等により単独所有とします。現物分割において過不足が生じる場合には金銭で調整することができます。

 ② 換価分割とは、第三者に売却して、手数料等を除く売却代金を共有者間で持ち分の割合に応じて分配する方法です。判決においては競売手続きを利用して売却がなされます。

 ③ 全面的価格賠償とは、共有者が他の共有者の持ち分を買い取る(賠償する)方法です。

 全面的価格賠償ができなかったら換価分割という組み合わせのパターンも見られます。

全面的価格賠償について

 最高裁判所平成8年10月31日判決は、次のとおり判示し、①相当性及び②実質的公平性の観点から、特段の事情がある場合に、全面的価格賠償の方法による分割を認めました。

「当該共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるものというべきである。」

 なお、東京地方裁判所平成19年4月26日判決は、一方当事者に先買権を認め、一定期間以内に代金の支払いを行わなかった場合に、他方当事者に買取権を認め、その者も支払いを行わなかった場合には、競売に付して代金を持ち分に従って分配するという方法での判決を出しました。同判決は主たる理由として、先買権を認めた当事者は不動産の使用を継続することを希望しており、他方当事者は第三者に売却することを予定していることを指摘しました。

 当職が代理人として関与した案件においても同様の先買権方式の判決がなされた経験があります。

 双方が買い取りたい場合において、賠償金の申し出金額がオークション的に(チキンレース的に)上昇してしまうところが難しいところであり、相手方を圧倒する金額を申し出て勝ち切りに行くか、裁判所鑑定等による合理的な金額または両当事者に争いのない金額に固定して主張立証を進めることが肝要です。

 そのほか

 なお、余談です。税務は専門外であるため税理士にご相談いただく必要がありますが、共有物分割事件を扱った際に理解した税務関係は次のような整理です。

1 登記の登録免許税については、原則として次の整理によるようです。
 ① 現物分割:共有物分割の登記であれば土地の価格の1000分の4(登録免許税法9条)(交換を登記原因とする場合には1000分の20
 ② 換価分割:共有者は売却する側ですので登録免許税の負担はありません。
 ③ 価格賠償:土地の価格の1000分の20(共有物分割と売買とで税率は同じ)

2 所得税については、原則として次の整理によるようです。
 ① 現物分割:共有持ち分に応ずる現物分割があった場合は譲渡はなかったものとして取り扱います。
 ② 換価分割:売買による譲渡所得税の課税
 ③ 価格賠償:売買による譲渡所得税の課税(固定資産の交換の場合の譲渡所得の要件を満たす場合には、申告により課税を繰り延べることが可能)

 以上から、弁護士として注意すべきポイントとしては、現物分割を行う場合には登記原因として共有物分割の登記を行うことができるようにすべきということかと思います。

まずはお気軽にお問い合わせください。
 不動産業分野に注力している当職へ是非お問い合わせください。
 当職(辻田)は、初めての方の初回法律相談30分を無料(延長30分につき5500円)とし、具体的なご依頼に至った場合には延長についても無料としております。また、不動産業者様及び顧問をご検討の方は初回相談(1時間程度)を無料としております。メール(tsujita@ohhara-law.jp)又は、お電話(03-3239-1311)へご連絡いただければ幸いです。お気軽にお問い合わせください。

あわせて読みたい
顧問弁護士サービスのご案内  当職は、不動産業者・地主・事業会社向けに、迅速で実務に強い顧問弁護士サービスをご提供します。 日常相談、契約書チェック、通知書作成、紛争予防から、立退き・...