A 未払賃料及び未払更新料の請求権は当然には承継しません。別途、債権譲渡を受ける必要があります。もっとも、債権譲渡を受けられなかったとしても、前オーナーから引き継いだ敷金の不足額の請求という構成をしうる余地があります。
大審院昭和30年12月21日判決によれば、賃貸人たる地位の承継前の期間において既に具体的に発生した賃料債権は、それについて債権譲渡の合意がされない限り、賃貸人たる地位の譲受人には承継されないとされています。更新料についても同様に考えられます。
なお、敷金については、民法605条の2第4項によって、新所有者に承継されますが、判例は、新所有者に承継される敷金は、賃借人の旧所有者に対する未払賃料などの債務があるときには、その弁済としてこれに当然に充当され、敷金返還請求権はその限度で消滅し、その残額についてのみ敷金にかかる法律関係が譲受人に承継されるものと解しています(大審院昭和2年12月22日判決、最高裁昭和44年7月17日判決)。
したがって、特段の合意をしていなければ、旧所有者から引き継いだ敷金に不足が生じているわけなので、不足額の請求という形で金銭の請求を行うことが考えられます。
もっとも、多くの場合には、敷金及び未払に関する清算は(三)当事者間で行っている場合が多いと存じますし、合意によるのであれば上記判例にかかわらず自由な合意が可能であると存じますので、契約前に契約書の作りこみをしっかりと行う必要が高いと存じます。

