A 売買契約において、債務不履行を理由に契約を解除するためには、原則として自己の債務の履行を提供し、相手方の同時履行の抗弁権を阻止する必要があります。例えば、売主が売買対象不動産の提供を怠っている場合には、買主の代金不払いを理由に解除することはできません。反対に、買主が代金の支払いを怠っている場合には、売主の目的物の引渡義務の遅滞を理由に解除することはできません。相手が履行を遅滞しているからといって、内容証明郵便で解除しますとだけ送付すればいいというわけではないため注意が必要です。
債務を履行したといえるためには、現実の提供が必要です(民法493条)。ただし、債権者があらかじめ受領を拒み、または債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領を催告すれば足ります(民法493条ただし書き)。
現実の提供としては、金銭であれば、債権者の指定口座に振込送金を行うか、現金または預金小切手や支払保証のある小切手を持参する必要があります。不動産の引き渡しであれば、期日に移転登記の準備をして登記所又は銀行等の履行場所に出頭することで現実の提供となります。現実の提供を行ったうえで解除の意思表示を行うこととなります。


