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辻田寛人
弁護士
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【裁判例】収益物件を購入するとともにマスターリース契約を締結したところ、既に同物件には入居者がおり、入居者の存在及び賃料について説明していなかったことについて不法行為責任を認めた事例

東京地方裁判所令和5年9月5日判決

 収益物件を購入するとともにマスターリース契約を締結したところ、既に同物件には入居者がおり、入居者の存在及び賃料について説明していなかったことについて不法行為責任を認めた事例

事案の概要
 原告:買主
 被告Y1:売主 被告Y2:サブリース業者
 原告が被告Y1から収益物件を購入し、併せて被告Y2とマスターリース契約を締結した。その際、マスターリース賃料の水準を告げられ、それを念頭に本件物件価格にて購入したが、実際には既に入居者がおり、告げられていたマスターリース賃料水準よりも低い賃料であった。

 判旨抜粋(当事者名等については当職が適宜改変しています。)

 (ア) 被告Y1の責任について

a 前記前提事実(2)アによれば、原告売買契約1は、マスターリース契約を利用することによる賃料収入によって収益を獲得することを目的として、締結されたといえる。そして、マスターリース契約においては、マスターリース契約の賃借人が、マスターリース契約の賃料を継続的に支払うための主な収益の源泉は、サブリース契約の賃料収入であるといえる。そして、マスターリース賃料よりサブリース賃料が低いという逆ざやの状態は、社会通念上、明らかに異常な事態であり、このような状態が生じている場合は、マスターリース賃料の支払の継続性に疑問が生じ、ひいては不動産の収益力や価格評価にも大きな影響を及ぼすということができる。これらの点に鑑みれば、マスターリース契約による収益を目的とする不動産の売買である原告売買契約1において、売主である被告Y1は、契約を締結するに当たっての判断をするための重要事項として、信義則上、原告に対し、サブリース契約の賃料がマスターリース契約の賃料よりも低いことにつき、説明する義務を負っていたというべきである。

b 前記認定事実ア(ア)、(イ)a、c(a)、dによれば、被告Y1は、原告売買契約1締結の際、原告に対し、既に原告建物1には賃料等合計5万円で賃借人が居住していたにもかかわらず、賃借人の存在やサブリース賃料がマスターリース賃料よりも低額の月額5万円であることを説明せず、かえって、サブリース賃料は9万4000円が原則である旨を説明した。したがって、被告Y1は、上記aの義務に違反したといえる。

…c 以上によれば、被告Y1は、本件売買契約1締結に際して、信義則上の説明義務に違反したというべきであるから、不法行為責任を負う。

(イ) 被告Y2の責任について

前記認定事実ア(イ)bによれば、被告Y2は、本件マスターリース契約1の締結に当たり、被告Y1の全面的な協力を得ていること、上記の真実のサブリース契約の賃料を反映していない契約書を被告Y2が準備していることが認められる。これらのことからすれば、被告Y2と被告Y1は、本件売買契約1及び本件マスターリース契約1の締結につき密接な協力態勢にあったことが明らかであるから、その間の関連共同性は優に認められる

これに対し、被告Y2はマスターリース契約上の賃料がサブリース契約上の賃料に合わせて変更される仕組みとなっているから、契約内容は適正であり、主観的関連共同性がない旨を主張する。確かに、前記認定事実ア(イ)d(b)によれば、サブリース契約上の賃料に合わせてマスターリース契約上の賃料が変更されることも予定されていたといえるものの、サブリース賃料の大幅な値上げが可能であるなどの特段の事情の見当たらない本件においては、このことは本件マスターリース契約1に定められた賃料月額8万0500円の継続性がない(将来、サブリース賃料月額5万円に合わせてマスターリース賃料が大幅に減額される。)ことを示しているにすぎない。むしろ、逆ざやの状態にあることを認識しつつこのような規定を契約書に定めていること自体、被告Y2が買主に損害を与えることを容認していることの裏付けということができる。したがって、被告Y2の主張は採用できず、被告Y2と被告Y1は共同不法行為者として不真正連帯債務を負う

(ウ) 損害について

上記(ア)及び(イ)説示によれば、被告Y1及び被告Y2の共同不法行為である説明義務違反により、原告は、原告物件1につき、実際には賃料月額5万円程度しか継続的に得られない物件であったにもかかわらず、賃料月額8万0500円を継続的に得られるものと誤信し、本件売買契約1を締結したものといえる。もっとも、前記前提事実(2)ア(ア)、前記認定事実(1)ア(ウ)aのとおり、原告物件1の代金は1260万円から1039万7000円に減額されたことが認められる。そうすると、原告は、原告物件1の利回りを、9.29%(8万0500円×12月÷1039万7000円(なお、社会通念上、登記費用等の経費は不動産の売買価格に含まれないから、利回り計算に反映すべきではない。)と認識して本件売買契約1を締結したといえ、実際の収益力である月額賃料5万円、利回り9.29%とした場合の想定価格645万8557円(5万円×12月÷9.29%)と本件売買契約1の代金額1039万7000円との差額393万8443円の損害を受けたというのが相当である。

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