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辻田寛人
弁護士
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Q 【住居】更新拒絶・解約申入の正当事由はどのような場合に認められますか。立退料の相場はどれくらいですか。

東京地方裁判所令和5年7月13日判決

賃料 月額5万5000円
築年数 解約申入時築約36年(昭和61年築)
構造 2階建 木造アパート
賃貸面積 不明
地域 不明(「JR・a駅から徒歩6分程度の好立地の物件」)
目的 住居
賃貸人側の必要性 耐震性不足 建替え
賃借人側の必要性 一定期間の不使用
立退料 66万円(賃料の12か月分)
判旨抜粋
(賃貸人側の必要性)
 「本件アパートは、昭和61年築の2階建て木造アパートであるところ、直ちに倒壊する危険性があるとまでは認められないものの、柱や梁に筋交い金物や引抜き金物が設置されておらず、一級建築士による耐震診断の結果、1階のX方向において地震により倒壊するおそれが高い旨の診断がされていることが認められる。
 そして、証拠(甲7の1、2、甲16)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件アパートを建て替え、新たに3階建ての賃貸物件(全12戸)を建築して家賃収入を増やすという具体的な計画を有していること、本件アパートは、令和4年度の固定資産評価額が127万8600円であるのに対し、耐震補強のための修繕には400万円~500万円程度を要すると見込まれることが認められ、本件アパートの建替えには経済的合理性があるといえる。」
(賃借人側の必要性)
 「①被告は、少なくとも平成31年1月8日~令和元年8月20日(被告の主張では令和3年9月頃)、本件建物に被告従業員を住まわせ、自身は本件建物に住んでいなかったこと、②被告は、少なくとも令和4年12月22日~令和5年1月27日、本件建物に出入りしていなかったことが認められる。これらの事実によれば、被告は、本件建物を住居として使用していないものと推認される。したがって、被告が本件建物を使用する必要性は乏しいというべきである。」

東京地方裁判所令和4年7月11日判決

賃料 月額5万6000円
築年数 解約申入時築約43年(昭和50年築)
構造 木造アパート
賃貸面積 不明
地域 不明
目的 住居
賃貸人側の必要性 老朽化、旧耐震、建て替え、他の入居者の退去
賃借人側の必要性 代替物件の存在
立退料 30万円(賃料の約5か月分)
判旨抜粋
(賃貸人側の必要性)
 (1)ア 前記認定事実(1)のとおり、本件アパートは昭和50年に築造された木造住宅であり、本件解約申入れの時点においても、築造から44年と法定耐用年数の2倍の期間が経過している。法定耐用年数が税務上の基準にすぎないなどの被告の主張を踏まえても、その構造や築年数に照らして本件アパートが相当程度老朽化していることは否定し難く、いわゆる旧耐震基準に基づく建物として耐震性の観点からも問題がないとはいえない。
イ 原告は、本件アパートを建て替えて賃貸物件として利用する予定であり、これに向けて見積書を取得し、また令和元年9月には被告を除く全ての入居者の退去を済ませている(認定事実(2)、(3))。
 被告の主張するように耐震補強をするということも不可能ではないにせよ、本件アパートの構造や築年数等に照らすと、本件アパートのデザインの陳腐化は甚だしく、耐震補強をしたとしても補強工事費用相当額を回収することすら困難であるという原告の主張はおおむね首肯することができ、本件建物を改築することには十分な合理性が有る。
(賃借人側の必要性)
ウ 本件建物と同程度の賃貸条件等の物件が複数存在し(認定事実(4))、これらの物件の賃料等の平均は月額5万3200円と本件建物の賃料よりも低いことがうかがわれる(前提事実(1)、甲18(枝番を含む。))。被告にとって本件建物の代替性がないことをうかがわせる事情は見当たらない。原告は、本件アパートの改築に向けて、平成30年3月には更新料の支払を免除し、同月20日付け建物賃貸借契約書に本件解約権留保特約(その有効性については争いがある。)を加えるなどしており(認定事実(2))、被告は、その頃には近い将来に本件アパートの改築がされることを認識し又は認識し得たものであるし、少なくとも本件賃貸借契約において従前は必要とされていた更新料が免除されるという利益を得ている。
エ 本件アパートについて直ちに取り壊さなければならないような緊急性までは見当たらないこと、原告が自ら本件建物又は新築後の建物に居住するなどして使用するものではないことに加え、被告の収入が少なく、新型コロナウイルス感染症の影響による減収のために転居費用の捻出が困難であるなどの被告の主張をも踏まえると、相当な立退料の支払は必要であるものの、前記アからウまでの諸事情に照らすと、相当な立退料の支払により本件解約申入れについての正当の事由が補完されるというべきである。立退料の支払を要せずに正当の事由が認められるとする原告の主張を採用することはできないし、相当な立退料の支払によっても正当の事由が認められないとする被告の主張も採用することはできない。
(立退料)
(2)ア そこで、相当な立退料の金額について検討するに、前記(1)で検討した諸点のほか、引っ越し費用や、本件建物と同程度の建物を借りる費用として、合計28万9350円(引っ越し費用5万円(甲20(枝番を含む。))、敷金5万6000円、礼金5万6000円、仲介手数料6万1600円、賃料保証料2万8000円、火災保険料1万8000円及び鍵交換代1万9750円(甲18(枝番を含む。)、弁論の全趣旨)程度を要すること、不任意の立退きであることをも考慮すると30万円をもって相当な立退料と認める。
イ 被告は、立退料として少なくとも120万円を要すると主張し、新規契約には少なくとも40万円が必要となること、転居費用のほか、転居活動をしなければ得られたであろう収入、転居先を確保することができなかった場合のネットカフェ代等の生活費、立退料に課税される税金を考慮する必要があること、迷惑料や慰謝料の意味で一定金額の上乗せを認めた裁判例も少なくないことなどを主張する。
 しかし、新規契約に少なくとも40万円が必要となることを的確に裏付ける証拠はなく、かえって前記アで考慮した敷金、礼金等を要しないような物件も存在すること(甲18(枝番を含む。))、被告が主張するその他の費用を要することについて具体的な主張・立証がされているとはいえないこと、その他これまで検討してきた諸事情に照らすと、被告の主張は、30万円をもって相当な立退料とした前記認定・判断を覆すに足りるものではない。その他被告がるる主張する諸点を踏まえて検討しても、前記認定・判断は左右されない。
ウ 原告は、本件建物の敷金は被告に全額返還する意向であることから、敷金5万6000円を差し引くべきであると主張するが、賃貸人は本件賃貸借契約が終了し、賃借人が賃貸借物件の明渡返還を完了した場合に敷金から原状回復費用等、債務の弁済に充当する分を控除し、その残額を賃借人に返還するものとされており(甲2・第7条⑤)、原告も債務の弁済に充当する分がある旨を主張するものでもないものと解されることに照らすと5万6000円を差し引かなければならない理由はなく、少なくとも30万円をもって相当な立退料とした前記認定・判断を覆すに足りるものではない。原告は21万3600円が相当な立退料であると主張するが、これまで検討したところに照らして原告の主張を採用することはできない。」

東京地方裁判所令和4年7月1日判決

賃料 月額9万円
築年数 解約申入時築約43年(昭和52年6月築)
構造 2階建て木造アパート
賃貸面積 不明
地域 世田谷区
目的 住居
賃貸人側の必要性 老朽化、耐震性不足、有効利用、建替計画
賃借人側の必要性 長期間居住、書道教室の経営
立退料 100万円(賃料の約11か月分)
判旨抜粋
(賃貸人の必要性)
 「①本件共同住宅は昭和52年6月に建築された2階建ての木造アパートであること、②本件共同住宅は、床面における傾斜、過度の振動、床鳴り、床下における基礎のひび割れや床下部材の腐朽、蟻道、蟻害等を含め多数の劣化事象が認められ、令和元年12月21日に実施された耐震診断士による耐震診断の結果、総合評価の数値が0.38(評点が0.7未満の場合は「倒壊する可能性が高い」と判定される。)と診断されたこと、③本件共同住宅について補強工事を行った上で耐震性を確保し安全に利用できる状態にするには新築と同程度の多大な費用が掛かること、④本件土地上に本件共同住宅と隣接して存在した建物は令和3年10月頃に解体されており、本件共同住宅を取り壊してより建築面積の広い建物を建築することが可能な状況となっていること、⑤原告は、本件共同住宅及びその敷地である本件土地を購入し、本件共同住宅を取り壊して共同住宅を新築する計画を有していること、以上の各事実が認められる。
 これらの事情に照らせば、本件共同住宅は築40年以上が経過した木造建築物であって、老朽化が進んでいるのみならず耐震性にも問題が生じており、原告が本件土地においてアパート賃貸業等を営む上では本件共同住宅を建て替えることが最も合理的であるということができる。そうすると、原告が本件土地を有効利用するために本件共同住宅を必要とする程度は大きいと認められる。」
(賃借人の必要性)
「他方、被告は平成7年頃から本件居室を賃借しており(前提事実(1))、その期間は現在まで25年以上にわたるほか、本件居室において書道教室を経営し周辺住民に相当程度認知されているとうかがわれることからすると、被告が本件居室を必要とする事情も認められる。もっとも、現時点で書道教室は休業中であること、周辺の物件を賃借した上で書道教室を継続することも可能であると考えられること、そのほかに被告において本件居室を必要とする特段の事情は見当たらないこと等を踏まえると、上記原告による本件共同住宅の必要性を上回るとまでは認められない。
(立退料)
「以上に加え、本件に関する一切の事情を勘案すると、財産的給付として100万円の立退料が支払われることにより、本件解約申入れにつき正当事由が認められるというべきである。」

東京地方裁判所令和元年12月12日判決

賃料 月額8万円
築年数 解約申入時築40年(昭和52年3月26日築)
構造 木造モルタル2階建
賃貸面積  40.57㎡
地域 不明(被告住所地から世田谷区と思われる。)
目的 住居
賃貸人側の必要性 老朽化、旧耐震、建て替え
賃借人側の必要性 長期間居住、高齢
立退料 90万円(賃料の約11か月分)
判旨抜粋
(賃貸人側の必要性)
 (1) 前記前提事実と証拠《甲3,甲21の1ないし5,甲23,原告本人》及び弁論の全趣によれば,①本件建物は,昭和52年3月に建築された木造モルタル2階建のアパートであり,外壁モルタルのひび割れや外階段の錆による腐食が目立つ等,外観からも老朽化していることが明らかで,周辺地域の他の賃貸アパートに比べても見劣りする状態であること,②本件建物は,昭和56年の建築基準法改正による新耐震基準に合致しておらず,現在共同住宅に求められている二方向避難路も確保されていないこと,③そのため,建て替えによらずに本件建物を現行規制に合致するよう修繕しようとすれば,避難路の確保や建ぺい率・容積率の条件を満たすため建物規模を縮小しつつ,大規模な耐震改修工事を行う必要があり,その費用は7680万円にも上ると見込まれることが認められる。
 これらの事情に照らせば,原告が本件土地においてアパート賃貸業を営む上では,本件建物を建て替えることが最も合理的であるといえ,被告に本件居室の明渡しを求める必要性があることが認められる。
(2) もっとも,前記の証拠によっても,本件建物が居住の用に供することができないほどに朽廃し,危険な状態に陥っているとまでは認め難く,直ちに建て替えをすることが不可欠であるとまでいうことはできない。また,原告は,建て替え後の建物に原告の母を住まわせる予定であると主張するが,本件建物の他居室には空室があることからすれば,上記事情は本件居室の自己使用の必要性を直ちに裏付けるものとはいえず,本件貸室契約の解約申入れについての正当事由に当たるとは解されない。
(賃借人側の必要性)
 そして,前記前提事実と証拠《甲28ないし33(枝番を含む,),被告本人》によれば,①被告は,現在70歳で,本件建物の新築当時から40年以上にわたって本件居室に居住し,2歳下の妻とともに本件居室を長年にわたり生活の本拠としてきたこと,②被告は,平成18年に世田谷区経堂にある実家の不動産を妹とともに相続したところ,同建物には被告夫婦が居住可能なスペースがないわけではないが,現在は同建物に被告の長女及びその家族が住んでいて,被告の妻と長女の夫との折り合いが良くないことから,被告夫婦が同建物に直ちに転居することは容易ではないことが認められる。
 そうすると,本件建物の建て替えの必要性は認められるものの,被告が本件居室での居住を継続する利益も保護されるべきものといえるから,本件貸室契約の解約申入れに正当事由を認めるためには,被告に対し,相当額の立退料が支払われる必要があるものというべきである。
(立退料)
(2) 裁判所鑑定は,自建貸家控除法及び用対連方式による賃料差額法を用い,本件貸室の借家権価格を225万6500円と評価したが,原告は,裁判所鑑定と同様に,自建貸家控除法及び賃料差額法を用いて借家権価格を求めるべきとしつつ,①本件貸室の階層別・位置別効用比,②本件土地の最有効使用に応じた個性率の設定,③賃料差額法において採用すべき賃貸事例の3点につき,裁判所鑑定を修正すべきであると主張する。
 そこで検討するに,まず①階層別・位置別効用比については,裁判所鑑定においては,本建物の1階と2階の効用比を同等と評価して1階に存する本件居室の階層別効用比率を0.5とし,本件貸室の契約面積(40.57m2)の1階登記面積(196.65m2)に占める割合から位置別効用比率を0.206として,その相乗により階層別・位置別効用比を0.103としたが,一般に賃貸アパートの1階と2階で賃料水準に格差があることは公知というべきであるから(甲15,甲18参照),1階を100とした場合の2階の効用比は103とすべきである。また,位置別の効用比については,本件建物の1階及び2階が同面積であり,角部屋と中間室の間取りに大きな差異が認められないことから,本件貸室の契約面積と1階の全貸室の契約面積合計(197.06m2)との割合のみを考慮するのが相当である。そこで,これを前提として階層別・位置別効用比を求めると,下記計算のとおり,0.101となる。(なお,原告提出の意見書(甲15)は,階層別・位置別効用比を0.09735と算定しているが,計算過程で契約面積比の算入を失念しているものと思われるため,これを採用することはできない。)
(計算) 100/(100+103)×40.57/197.06=0.101
 また,②本件土地の個性率については,裁判所鑑定は,立退きを前提とせずに土地建物の積算価格を求めているため,地積過大であることによる個性率を0.95とし,5%の減価にとどめているが,証拠《甲15》及び弁論の全趣旨によれば,本件土地を更地として評価した場合に評価額が最も高く試算されるのは開発法による場合であることが認められるから,これを採用することが相当である。そして,上記証拠によれば,本件土地の地積が450.40m2と画地規模が大きく,間口が12.27mで奥行きが37.10mと細長い形状であるため,区画割して分譲する場合の潰地(道路地)の発生を考慮すると,開発法によっても本件土地の更地価格は近隣地域の標準価格の約67%(約7割)と査定されることが認められるから,地積過大であることによる個性率としては,0.70とするのが相当である。
 さらに,③賃料差額法において採用する賃貸事例については,裁判所鑑定では3事例を採用しているものの,このうち木造アパートは1事例のみで,3事例とも新築又は築浅のものとなっていて,必ずしも本件貸室と同種同等の事例を採用したものとは解されない。一方,証拠《甲15》によれば,周辺地域には新耐震基準を満たす木造アパートの賃貸事例は数多くあり,募集賃料の平均単価は共益費込みで2,462円/m2であることが認められる。成約賃料は一般に募集賃料以下の水準となるものと解されることも考慮すると,裁判所鑑定が採用する比準賃料(2,700円/m2)及びその結果算定された標準家賃(月額11万円)はやや高額にすぎるものと言わざるを得ない。そこで,上記募集賃料の事例を参考として,比準賃料を2,500円/m2程度とし,賃貸面積を乗じた標準家賃を月額10万2000円と修正することが相当である。
(3) 以上のとおりの修正を行い,自建貸家控除法及び用対連方式による賃料差額法による評価額を1:1の比重で用いて本件貸室の借家権評価額を計算すると,別紙「裁判所鑑定の修正」記載の計算のとおり,90万5500円となる。
 上記計算結果と,本件建物の建て替えの必要性の程度や被告が他に居住可能な物件を所有していること等の事情を勘案すると,本件における立退料の額は,90万円とすることが相当である。

東京地方裁判所平成26年5月14日判決

賃料 月額7万5000円
築年数 解約申入時築約35年(昭和51年6月築)
構造 木造亜鉛メッキ鋼版葺2階建
賃貸面積 
地域
目的 住居
賃貸人側の必要性
賃借人側の必要性 
立退料 170万円(賃料の約22か月分)
判旨抜粋 (執筆中)

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