A 故意に融資申し込みを怠ったり、融資審査に誠実に取り組まなかった場合には、ローン特約による白紙解約を認めないとする裁判例があります。以下、複数の裁判例をご紹介します(執筆中)。
東京地方裁判所平成26年4月18日判決
ローン特約による解約を認めなかった事例
金融機関に融資の事前相談を行い融資の見通しが示されたうえで売買契約を締結した事例で、事前相談において示された融資条件で申し込みを行い融資が通らなかった場合のみしかローン特約による解除を認めないとした事例
(事案の概要)
不動産売買契約に先立ち、金融機関に事前相談を行い、売買対象物件とは別の不動産を共同担保に提供する前提で、金融機関から融資が通る見通しが示され、売買契約を締結した。
売買契約を締結後、融資審査の申し込みにあたり、買主は共同担保の提供を行わなかった結果、融資が通らず、買主はローン特約による白紙解約を主張した。
(判旨抜粋)
本件ローン条項のような,いわゆるローン条項は,買主において,金融機関から融資が受けられず,そのために残代金を支払うことができなかった場合でも,手付金の放棄や違約金の負担をすることなく買主が売買契約を白紙解除することができるという,買主を保護するための条項であって,一般にこのような条項が売買契約に付される場合,売買契約の締結に先立ち買主側で金融機関に事前相談を行い(乙A5の1・2,乙A24),融資の見通しを示された上で売買契約を締結し,この見通しに沿って融資の申込み(本申込み)を行うことが予定されていることからすると,ローン条項が適用される融資の申込みとは,金融機関から示された見通しに沿った内容での申込みと解するのが,売主及び買主双方の通常の意思にかなうものである。本件においても,前記認定のとおり,原告X1は○を通じて本件金融機関に事前相談を行い,本件金融機関から示された本件融資条件の内容を認識した上で本件売買契約を締結しているのであるから,本件ローン条項は,原告らが所定の期間内に本件融資条件に沿った融資申込み(本申込み)をしたにもかかわらず融資の承認が得られなかった場合に適用されるものと解するのが相当である。
なお,本件売買契約に係る売買契約書上は,融資金額及び金融機関名が表示されているにとどまり,共同担保を提供する旨の記載はないが,B及びAは,各陳述書(乙B18,19)及び各証人尋問において,買主の不動産の所有状況は個人情報に関する事柄であるから記載するのを避けていると陳述しており,このような陳述も不合理なものではなく,上記のとおり,原告X1は本件融資条件の内容を認識した上で本件売買契約を締結している以上,売買契約書に共同担保を提供する旨の記載がないことをもって,共同担保を提供せずに本件金融機関に対して2000万円の融資を申し込む場合にも本件ローン条項が適用されるものと解することはできない。
以上によれば,原告らは,本件融資条件に沿った融資の申込みをしたということはできないから,本件ローン条項に基づく売買契約解除の要件を満たしていないことになる。

