MENU
辻田寛人
弁護士
 幅広く弁護士業務を行っており、中でも不動産業者様の顧問業務を多く取り扱っております。
 不動産業者様が日常的に疑問を持たれる法律問題についてすぐにご回答できるように日々研鑽を重ねています。顧問業務に限らず個別の案件のご依頼についても多数の経験を有しています。
 お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

Q 立体駐車場に借地借家法の適用はありますか。

A 東京高等裁判所昭和62年5月11日判決は、結論として立体駐車場について、借家法の適用を肯定していますが、これは一棟貸しであるためであると思われます。一つ一つの駐車場区画(スペース)の貸与は、東京地方裁判所平成31年2月13日判決に照らして、借地借家法の適用のある建物の賃貸借契約ではないという整理でよいと思われます。もっとも、居住用の居室と契約書が一体になっている場合等には別途の検討を要する場合もあると存じます。
 特に駐車場の契約解除の場面で御懸念の場合が多いかと思います。居住用マンションに併設している場合の駐車場賃貸借契約解除等については契約書を踏まえた予告措置・経過措置・代替措置等の段取りについてご相談ください。
 なお、平置き駐車場は、そもそも建物でもなく、建物所有目的の土地賃貸借でもないため借地借家法の適用はありません。契約書に従って解約を検討してください。

東京地方裁判所昭和61年1月30日判決(控訴審 東京高等裁判所昭和62年5月11日判決にて逆転)
 立体駐車場設備について借家法の適用を否定した事例

(判旨抜粋)
 右1、2の事実によると、本件賃貸借は、立体駐車場としての本件駐車場の賃貸借ということができるが、建物の賃貸借に当たるか否かの観点から見ると、立体駐車場設備一式の賃貸借というべきであり、借家法にいう建物の賃貸借に当たらないものと解するのが相当である。なぜなら、本件賃貸借を、立体駐車場としての賃貸借と見る限り、本件建物部分は、ハイ・ガレージの部分も、管理室、車路の部分も共に、垂直循環式立体駐車(場)設備機械の効用を発揮するためのものであつて、そのままでは、右機械を離れて独自の価値を有するものではなく、したがつて、本件賃貸借の賃借物件の中心は、右機械を始めとする立体駐車場設備一式にあるというべきであり、本件建物部分は右設備の使用に必要な範囲内においてそれに附随して賃借物件とされたに過ぎないものと考えられるからである。
 右の判断に関し、若干ふえんする。
(一) 被告は、本件建物部分は建物の賃貸借の対象となり得る独立性を備えた建物の一部であり、本件賃貸借は駐車場の経営をするための営業用建物の賃貸借と解すべきである、と主張している(請求原因に対する答弁2の(二)の(1)、(2))。なるほど、本件建物部分が建物の賃貸借の対象となり得ることは、右2の(一)の事実に照らし明らかなところであるが、通常の建物の賃貸借においては、契約当事者の合意、建物の構造等に照らし、建物自体の使用に主眼があるものであるところ、本件賃貸借においては、既に述べたとおり、その賃借物件の用途を立体駐車場としての使用に限定している原告と被告との合意及び右物件の構成等に照らし、本件建物部分の使用そのものに独自の価値があるとはいえないのであるから、被告の右主張は採り難い。なお、一般に、倉庫や車庫の賃貸借も、建物の賃貸借と解されているが、それは、倉庫や車庫となつている建物自体の使用に主眼が置かれるが故であり、本件の場合と異なることはいうまでもない。
(二) また、被告は、本件建物部分の空間の方が立体駐車場設備一式よりはるかにコストが高い、と主張し(請求原因に対する答弁2の(二)の(2))、それにより、本件賃貸借が本件建物部分の賃貸借であることを支えようとするが、本件建物部分の空間の価値そのものを確定するに足る証拠はなく(右空間を店舗ないし事務所として利用する場合の価値をいうとすれば、それは、右空間自体の価値とはいえない。)また、仮に、右空間の価値が高価なものであるとしても、それは、主として本件ビルの所在する場所すなわちその土地の価格を反映することによるものと推測され、そうであれば、そのような場所に所在する立体駐車場設備もその土地の価格を反映して右設備自体の価値より高価となるとも考えられるので、右空間の方が当然に右設備よりはるかに高価であるとは断定できず、右被告の主張は、そのままこれを採用するわけにはいかない。
(三) 被告は、本件駐車場の電気、水道、ガスの経費を被告が負担していることは、本件賃貸借が建物の賃貸借であることを示すものであると主張するが(請求原因に対する答弁2の(二)の(3))、被告において本件の立体駐車場設備一式を賃借して全面的に管理し、それに附随して本件建物部分を占有している以上、右の経費を被告が負担するのは当然のことであり(前掲乙第三号証の本件賃貸借の契約書第九条には、右の経費は原告の負担とする旨の規定があるが、被告代表者尋問の結果及び弁論の全趣旨によると、締約当初から、原告が被告に対し、右の経費の支払を請求し、被告が原告に対し、何らの異議もなく当然のこととして、これを支払つていることが認められ、これによると、右規定が当事者の合意内容をそのまま表現しているかには疑問がある。)、また、前掲乙第三号証の本件賃貸借の契約書第一〇条の被告は書面により原告の承諾を得なければ、物件の原状を変更しないものとする旨の規定や、同第一二条の賃貸借期間に生じる物件の滅失、毀損による機能の停止についての負担を、その原因により、原告又は被告に分担する旨の規定も、右各規定にいう物件が立体駐車場設備一式を成す機械等を指すとしても、本件賃貸借が右設備一式の賃貸借であるとする前記判断に牴触するものとは考え難い。

東京高等裁判所昭和62年5月11日判決(原審 東京地方裁判所昭和61年1月30日判決)
 立体駐車場の賃貸借契約について借地借家法の適用を肯定した事例

(判旨抜粋)
 ところで、被控訴人は、本件賃貸借は本件建物内に組み込まれた立体駐車場設備一式の賃貸借であって本件建物部分は付随的に利用されるに過ぎないから本件賃貸借は建物の賃貸借ではないと主張するが、本件賃貸借契約書には賃貸借物件の表示として本件建物部分が明示されていること、本件建物部分のうちハイ・ガレージ部分は立体駐車場用の建物であり、自動車及び立体駐車場設備機械を格納し、これらを風雨、熱射、塵などから保護するものであって、それ自体有用なものであり、また、車路部分はハイ・ガレージ部分に自動車が出入りするために必要不可欠な施設であり、駐車場管理室も本件立体駐車場の営業管理上必要な施設であり、これらを賃借しなければ本件立体駐車場の営業は成り立たないこと、本件建物部分は独立した建物であり、その中に立体駐車場設備機械が存在しなくとも、立体駐車場用建物として賃貸借の対象となり得るものであることなどにかんがみると、被控訴人の右主張は採用することができない。
 以上により、本件賃貸借は建物及び立体駐車場設備機械の賃貸借であって借家法の適用のある賃貸借であるというべきであるから、本件賃貸借が期間満了により当然に終了したとの被控訴人の主張は直ちに採用することができない。

東京地方裁判所平成31年2月13日判決
 本件駐車場が借地借家法が適用される「建物」に該当しないと判断された事例

(判旨抜粋)
 (1) 前提事実,証拠(甲7,甲9,乙6,乙10)及び弁論の全趣旨によれば,本件駐車場は,本件建物の1階部分に位置し,その上部にある本件建物の居室部分を屋根とするものではあるが,その入口側(公道側)はほぼ全面にわたって壁がなく隣に設けられた別の駐車場との間にも2m以上壁がないなど,他の区画とも客観的に区別されていないこと,本件建物の居室部分と本件駐車場との間には扉が設けられているものの,常時開錠されており(被告がこれを施錠することは許されていない。),本件建物の居住者であれば誰でも本件駐車場を通って本件建物を自由に出入りし得る状態にあること,そのため,被告自身も,本件駐車場に防犯カメラを設置していること,以上の事実が認められる。
 上記で認定した事実によれば,本件駐車場は,屋根こそあるものの,周壁を有しておらず,隣の駐車場と壁によって客観的に区別されているとはいえないし,また,本件建物の居住者であれば誰でも本件駐車場を通って本件建物を自由に出入りし得る状態にある以上,被告の独立的,排他的な支配が可能であるともいえない。そうすると,本件駐車場は,本件建物の一部を構成するものではあるが,借地借家法の適用を受ける「建物」に該当するとはいえない

まずはお気軽にお問い合わせください。
 不動産業分野に注力している当職へ是非お問い合わせください。
 当職(辻田)は、初めての方の初回法律相談30分を無料(延長30分につき5500円)とし、具体的なご依頼に至った場合には延長についても無料としております。また、不動産業者様及び顧問をご検討の方は初回相談(1時間程度)を無料としております。メール(tsujita@ohhara-law.jp)又は、お電話(03-3239-1311)へご連絡いただければ幸いです。お気軽にお問い合わせください。

あわせて読みたい
顧問弁護士サービスのご案内  当職は、不動産業者・地主・事業会社向けに、迅速で実務に強い顧問弁護士サービスをご提供します。 日常相談、契約書チェック、通知書作成、紛争予防から、立退き・...