A 立ち入りだけではなく、足場の設置、工事材料の搬入や一時的な集積が可能と考えられています。また、具体的な状況のもとにおいて必要な範囲内で隣地を一部掘削することや余堀り等ができると考えられています。
なお、かかる隣地使用請求権は、賃貸借権者や使用貸借権者にも認められます(東京地方裁判所昭和60年10月30日判決、東京地方裁判所平成17年8月9日判決、東京高等裁判所平成18年2月15日判決)。被告となる者は現に占有している者であるとされています(高松高等裁判所昭和49年11月28日判決)。
東京地方裁判所平成11年1月28日判決
隣地ビルの屋上及び非常階段への立ち入りが民法第209条第1項ただし書きの「住家」に該当しないと判断された事例
(判旨抜粋)
○○ビルの屋上には、変電設備と空調の室外機が置かれているほかはオープンスペースとなっている。また、非常階段は、文字どおり非常階段として利用されている。
……ところで、民法二〇九条ただし書きによれば、「住家」に立ち入るには隣人の承諾を要するとされているが、その根拠は、隣人の生活の平穏(プライバシー)を害さないことにあると解される。そして、本件で問題とされる○○ビルの屋上の利用の態様及び非常階段の利用態様に照らせば、これらは「住家」には当たらないと解すべきである。右のような利用態様の下では、そこへの立入りが直ちに隣人の生活の平穏を害するとはいえないからである。
したがって、本件においては、裁判をもって承諾の意思表示に代えることができる。

