A 信頼関係不破壊の法理により、必ずしも解除が認められるわけではないと存じますが、連帯保証人を立てる義務違反による解除を肯定した事例として東京地方裁判所平成25年7月17日判決があります。
東京地方裁判所平成25年7月17日判決
連帯保証人を立てる義務違反による賃貸借契約の解除を肯定した事例
判旨抜粋
「(1) ① 賃貸借契約において賃料の支払義務は賃借人の主要な義務であるから,賃借人が賃料の支払能力を十分に有するかどうかは,賃貸人にとって主要な関心事であり,本件申込書に勤務先について前年税込年収を含めて記載を求めていた(前提事実(3))のは,賃借人候補者である申込人の支払能力についての事情を把握するためであると解される。そうであるところ,被告は,本件申込書作成時に生活保護受給の申請中であり,前年税込年収600万円という記載は,その記載が直ちに虚偽の記載とはいえないとしても,被告の支払能力に関する情報としては実態とそぐわないものであり,被告の支払能力については,本件賃貸借契約締結時に,無視できない不安があったというべきである。そうすると,本件賃貸借契約においては,本件申込書に記載された連帯保証人(自宅所有の会社役員であり,勤続年数30年,税込年収1000万円)が確実に連帯保証するということが被告の支払能力の不安を解消する重要な要素であったということができる。そして,② 前記2認定のとおり,本件契約書では,本来,連帯保証人欄に連帯保証人の署名押印を徴することが予定されており,現に,貸主である原告及びその妻であるEとしては,借主において連帯保証人を付けることが通常であり,それを確認してから貸主欄に署名押印するのが通例であり,連帯保証人が不在のままでは,賃料不払の場合の保証がなく,本来であれば,本件建物の賃貸は認めなかった(甲13,甲15,証人E)のである。以上①,②の事情に照らせば,被告が合理的期間内に,本件申込書に記載された連帯保証人を立てることは,本件賃貸借契約に基づく契約関係を継続していく上での不可欠の前提であったということができる。そうであるところ,被告は,契約締結時から解除の意思表示の時点である平成24年9月12日まで約6か月があったのに,連帯保証人を立てておらず,また,本件全証拠によっても,これを立てるために真摯な努力をしたとはうかがわれないのであって,この事実は,それ自体で,本件賃貸借契約における原告と被告との間の信頼関係を明らかに破壊する事実であるというべきである。
(2) 被告は,……それまでの経緯はどうあれ,D弁護士から紛争解決のための提案を受け,連帯保証人引受承諾書用紙を同封して連帯保証人を立てることを改めて求められたのに対し,合理的理由なく,これに応じなかったのであり,そのような被告の態度は,本件賃貸借契約における当事者間の信頼関係を破壊するものというよりほかはない。
(3) したがって,原告のした本件賃貸借契約の解除の意思表示は,有効である。

