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辻田寛人
弁護士
 幅広く弁護士業務を行っており、中でも不動産業者様の顧問業務を多く取り扱っております。
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Q 土地賃貸借契約において、更新料が支払われません。賃貸借契約を解除することはできますか。

A 土地賃貸借であれば、更新料の不払いによる賃貸借契約解除が認められる傾向にあります(認められていない裁判例も一部存します。)。

最高裁判所昭和59年4月20日判決 解除肯定
判旨抜粋
 土地の賃貸借契約の存続期間の満了にあたり賃借人が賃貸人に対し更新料を支払う例が少なくないが、その更新料がいかなる性格のものであるか及びその不払が当該賃貸借契約の解除原因となりうるかどうかは、単にその更新料の支払がなくても法定更新がされたかどうかという事情のみならず、当該賃貸借成立後の当事者双方の事情、当該更新料の支払の合意が成立するに至つた経緯その他諸般の事情を総合考量したうえ、具体的事実関係に即して判断されるべきものと解するのが相当であるところ、原審の確定した前記事実関係によれば、本件更新料の支払は、賃料の支払と同様、更新後の本件賃貸借契約の重要な要素として組み込まれ、その賃貸借契約の当事者の信頼関係を維持する基盤をなしているものというべきであるから、その不払は、右基盤を失わせる著しい背信行為として本件賃貸借契約それ自体の解除原因となりうるものと解するのが相当である。

東京高等裁判所昭和58年7月19日判決 解除肯定
判旨抜粋
3 土地の賃貸借契約においてその存続期間が満了するに際し授受されるいわゆる更新料の性質及びその不払の場合の効果については多くの議論のあるところであるが、本件事案について検討するに
(一)本件賃貸借契約は、昭和九年に締結され、当時権利金・敷金等の差入れはなく、昭和二九年に第一回目の更新がなされ、本件は昭和四九年の第二回目の更新に関するものであるが、その間地価を始め物価が著しく値上りしていることは明らかであり、控訴人は、更新料の額を算定するについて土地の更地価格に七割を乗じて借地権価額を算出したうえ、更にその一割をもつて更新料の額とし(その当否は措く。)、これについて双方当事者が協議し合意したものであつて、その経緯から見ると、本件更新料は本件土地利用の対価として支払うこととされたものであつて、将来の賃料たる性質を有するものと認められる。
(二)控訴人は、その所有土地の有効利用を考え、また、被控訴人の不信行為もあつたが、賃貸借契約の解消を求めず、その継続を前提として更新料を請求したものであるから、更新に関する異議権を放棄し、その対価としての更新料を請求し、これについて更新料の支払が合意されたものと認めるべきである。土地賃貸借契約の更新に際し、賃貸人が述べる異議に正当事由があるか否かは不明確な場合が多く、その解決のためには、多くの時間と費用を費して訴訟等で争われることがあるのであるから、訴訟等による損害を未然に防止する目的で金銭的解決をはかることは賃借人にとつて利益となる側面もあり、その支払の合意は、必ずしも借地法六条の規定を潜脱し、同法一一条の賃借人に不利なものとは一概にいえないから、本件事情のもとではその効力を認めるべきである。
(三)また、本件においては、被控訴人に建物の無断増改築、借地の無断転貸、賃料支払の遅滞等の賃貸借契約に違反する行為(これらが、それ自体契約解除の原因たる不信行為に該当するか否かは別として。)があつたが、本件調停は、これら被控訴人の行為を不問とし、紛争予防目的での解決金をも含めた趣旨で更新料の支払を合意したものと認められる。そうすると、本件更新料の支払義務は、更新後の賃貸借契約の信頼関係を維持する基盤をなしていたものというべきであり、しかも、右更新料支払の合意を、被控訴人は弁護士を代理人とする調停においてなしたものであり、支払期限後は催告もされているから、その不払は右基盤を失わせるものとして、賃貸借契約を解除する原因となるというべきである。
 そして、本件について、前記認定事実によるとき、信頼関係を破壊しない特別事情があるとはいえないし、ほかに信頼関係を破壊しない特別事情の存在を認めるべき証拠はない。

東京地方裁判所平成5年8月25日判決 解除肯定
(判旨抜粋)
 本件のように賃貸借契約が法定更新された場合にも、賃借人に更新料支払義務があるかどうかについて考えるに、〈書証番号略〉によると、本件賃貸借の契約書には、二条二項として、「契約期間満了の場合は甲乙協議の上更新出来るものとし、更新の場合は更新料として新賃料の参か月分を甲に支払う。」と記載されていることが認められ、右文言のみからすれば、合意による更新を念頭に置いたものとみられないこともないが、しかし、(1)賃貸借が期間満了後も継続されるという点では、法定更新も合意更新も異なるところはなく、右文言上も、更新の事由を合意の場合のみに限定しているとまでは解されないこと、(2)本件賃貸借の契約目(〈書証番号略〉)では、契約期間が満了しても更新条件についての協議が調わないときは、「引続き暫定として本契約を履行する」ものとする旨定め(一六条三項)、法定更新の場合にも、契約書の定めが適用されるものとしていること、(3)本件賃貸借が期間を三年と定め、三年ごとの更新を予定して、新賃料を基準とする更新料の支払いを定めていることなどからすると、右更新料は、実質的には更新後の三年間の賃料の一部の前払いとしての性質を有するものと推定されること、(4)本件のように、当事者双方とも契約の更新を前提としながら、更新後の新賃料の協議が調わない間に法定更新された場合には、賃借人が更新料の支払義務を免れるとすると、賃貸人との公平を害するおそれがあることなどを総合考慮すると、本件賃貸借においては、法定更新の場合にも更新料の支払いを定めた前記条項の適用があり、被告はその支払義務を免れないと解するのが相当である。
3 したがって、被告は、本件賃貸借が平成二年一一月二四日の経過をもって法定更新されたことより、更新後の賃料(少なくとも更新前の賃料と同額)三か月分相当額の支払い義務を負ったものというべきであり、前示のように右更新料が賃料の一部としての実質を有していることからすると、被告が右更新料を支払わないことは賃貸借契約上の重要な債務の不履行であり、解除の原因となると解すべきてある(更新料の不払いは解除原因にならない旨の被告の主張は採用することができない。)。
 被告は、被告の更新料の不払いは未だ賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめる不信行為とはいえない旨主張するが、前記認定のとおり、被告は、契約書で定められた更新料の支払義務自体を一貫して否定し続けるとともに、本件賃貸借の存続期間は二〇年であるとの特異な見解に固執して、原告の更新料の請求に応じようとしなかったものであって、被告の右更新料不払いは、賃貸借当事者間の信頼関係を破壊するものと認めるのが相当である(なお、新賃料について合意が成立していないときは、従前の賃料額に基づいて更新料を計算すればよいのであって、右合意の不成立をもって更新料不払いの理由とすることはできない。)。

東京地方裁判所昭和59年6月7日 解除否定
(法定更新の場合に更新料の支払義務がないとした裁判例)
判旨抜粋
 本件の争点は、原被告間における更新料支払に関する特約は、借地契約の合意更新のときのみならず、本件のような法定更新のときにも適用され、被告らは更新料支払の義務を負うものと解すべきか否か、という点にあることになる。
1 土地の賃貸借契約において、その存続期間が満了する際に、当事者間でいわゆる更新料が授受される事例の多いことは当裁判所に顕著なところであるが、その趣旨は、賃貸人において賃貸借の存続期間満了を機に賃貸借を終了させることを求めず、更新に関する異議権を放棄して円満に賃貸借を継続させることとし、その対価として、賃借人から一定額の金額の支払を得ることにあると解される。
2 これを本件の事案に即してみるに、昭和三九年一一月一五日原被告間に交された契約書中に更新料に関する条項が含まれていることは前認定のとおりであるが、これは、将来賃貸借契約の存続期間満了時に当事者双方の合意で契約を更新することができ、その場合には賃借人は一定額の更新料の支払を要することとしているにとどまり、法定更新の可能性が否定されるものでないことはもとよりであり、法定更新のときの更新料を定めたものでないことは文理上明らかである。ことに本件においては、更新料に関する特約は、存続期間満了までまだ一七年も残していて将来の土地の需給に関する予測もたてがたい時期になされているのであり、しかもそこで約定された更新料の額は、土地の売買価格の一割という今日の世間相場からみれば異例に高額なものであることにかんがみると、賃借人が存続期間満了時に約定更新料の支払による円満な合意更新の途を捨てて、賃貸借の継続についての多少の危険は覚悟の上で、何らの金銭的負担なくして更新の効果を享受することのできる法定更新の途を選ぶことは妨げられるべきではないのであり、本件における更新料支払に関する特約は、他に特段の事情のない限り、法定更新の場合には適用されないものと解するのが相当である。そして本件では、賃借人に更新料支払の義務を負わせるのを相当とするような特段の事情があるとは認めることができない。

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