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辻田寛人
弁護士
 幅広く弁護士業務を行っており、中でも不動産業者様の顧問業務を多く取り扱っております。
 不動産業者様が日常的に疑問を持たれる法律問題についてすぐにご回答できるように日々研鑽を重ねています。顧問業務に限らず個別の案件のご依頼についても多数の経験を有しています。
 お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

Q 賃貸のハウスクリーニング特約はどのように定めたらいいでしょうか。

A ㎡単価あるいは坪単価で定めるか、確定額や総額を定めた方が良いと考えられます。裁判例には、単価も総額も定めていないハウスクリーニング特約について合意の存在を認めなかったと判断した裁判例があります。

東京地方裁判所令和元年11月15日判決
 ハウスクリーニング特約について、具体的な定めがないとして、合意の有効性を否定した事例
 ハウスクリーニング特約「退室時のハウスクリーニングは控訴人の指定した業者が行い、それに要した費用を被控訴人の負担とする。」

(判旨抜粋)
 本件賃貸借契約においても、特約事項にその定めがあるものの、特約事項によっても、ハウスクリーニングをすべき範囲等についての具体的な定めはなかったから、控訴人と被控訴人との間で、通常損耗の場合であっても、被控訴人はハウスクリーニング費用を負担するものと明確に合意されていたとは認められない
(2) そこで、次に、ハウスクリーニング費用が、特別損耗に対する原状回復費用と認められるか否か検討する。
 証拠(乙3の1、3の2、乙10、証人C、証人D(以下「D」という。))及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人退去後である平成30年6月20日頃、本件建物の玄関側の洋室、トイレ、洗面所、ユニットバス及びバルコニーの床、壁又は天井には、黒カビを含む顕著な汚れや結露の跡のシミ等が存在していたことが認められる。このような汚損は、賃借人である被控訴人において、日常的な清掃等を適切に行っていれば、容易に防止することができたものというべきであるところ、その程度や範囲に鑑みれば、上記汚損は、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる範囲を超えていると認められるから、これらに対するハウスクリーニング費用は、特別損耗に対する原状回復費用というべきである。そして、上記汚損が及んでいる範囲に鑑みれば、被控訴人は、本件建物全体にかかるハウスクリーニング費用の2分の1を負担すべきものと認めるのが相当である。
(3) これに対し、被控訴人は、壁の黒カビは結露に基づくものであって、建物構造上の問題であり、被控訴人の責任ではないことを主張するが、建物の構造上、北側の部屋の壁には結露が生じやすいとしても、日常的な清掃等により防止し得たとの上記認定を覆すには足りない。

前橋簡易裁判所平成31年2月4日判決
 室内外の清掃費用は賃借人の負担とする特約について、明確性に欠けるため、合意の有効性を否定された事例
 特約「入居期間中及び契約終了時の室内外の清掃、畳・襖・建具・壁・クロス・硝子・排水の詰まり等またその他の小修理は権利金・更新料の有無にかかわらず乙(原告)の負担とする。但し、契約終了時のクロスの自然的な汚れ損耗等は甲(被告)の負担とする。」

(判旨抜粋)
2 争点1(本件建物賃貸借契約における特約)について
(1) 賃借人が賃貸借終了により負担する原状回復義務には、特約のない限り、賃借物件の通常の使用に伴い生ずる損耗に係るものは含まれない。
 この点、本件建物賃貸借契約書(乙1、乙2、乙3)には、賃借人が賃貸借終了により負担する原状回復義務の記載があるが、第2条の「室内外の清掃」の記載については、どのような汚損状態が発生したときに清掃を行うことになるのかが明らかにされているとはいえず、通常の清掃を行った場合についても賃借人が負担すべき原状回復費用の範囲に含まれるかが明らかにされているということはできない。また、同条の「畳・襖・建具・壁・クロス・硝子・排水の詰まり等またその他の小修理」については、どのような損耗状態が発生したときに補修・修繕を行うことになるのかが明らかにされているとはいえず、通常損耗分についても賃借人が負担すべき原状回復費用の範囲に含まれるのかが明確に示されているということはできない。
 したがって、これらの記載があるからといって、本件建物の通常な使用に伴い生ずる損耗について原告に原状回復義務を負わせることはできないと解すべきである(最高裁平成17年12月16日第二小法廷判決・裁判集民事218号1239頁参照)。
……
(エ) ハウスクリーニング証拠(乙5)及び弁論の全趣旨によれば、退去時の部屋の状況は床をはじめ全体に著しい汚れが認められる。これは通常の使用により生じたものとは認められない。原告は、退去時に通常以上の清掃を実施したとして、証拠(甲15)を提出するが、そのほかに清掃を実施したとする証拠は存在せず、退去時に通常の清掃をしたとは認められない状況であったと推認される。
 したがって、ハウスクリーニング費用はすべて原告(賃借人)が負担すべきであると解されるが、クロスの張替え、畳の交換等によって、清掃部分は減額されるものと解される。その上で、ハウスクリーニング費用が減額された場合においても、本件建物全体における著しい汚損の状況から通常以上の費用を要すると解される。そうすると、被告主張のハウスクリーニング費用15万8000円の2分の1である7万9000円を負担するのが相当である。

 ※青文字は当職による注釈・加筆です。

東京地方裁判所平成29年3月9日判決
 ハウスクリーニング特約の有効性を認めた事例
 特約「賃借人(原告)は、通常の清掃を実施しているか否かにかかわらず、清掃費用実費として、床面積㎡当たり1000円で算出された11万1680円(消費税込みで12万0614円)を退去時に負担するものとし、清掃は賃貸人(被告)指定の業者により行うものとする。」
 請求額:ハウスクリーニング費用12万0614円
 認容額:6万0307円(信義則上、本件特約により原告に請求できる清掃費用は半額にとどまる)

東京地方裁判所令和2年2月6日判決
 ハウスクリーニング特約の有効性を認めた事例
 特約「賃貸人の指定する専門業者によるハウスクリーニングを行うこととし、その費用(1㎡当たり1100円程度、㎡数に係わらず最低金額2万5000円)は賃借人にご負担いただきます。」
 請求額:ハウスクリーニング費用6万9000円
 認容額:6万9000円(貸室面積65.30㎡×1100円を超えない)

東京地方裁判所令和2年9月23日判決
 ハウスクリーニング特約の有効性を認めた事例
 特約「原告は、本賃貸借契約において定める原状回復を実施するに当たり、①入居の期間、契約終了理由、貸室の汚損の程度及び汚損の原因の如何に拘わらず、以下に記載する算出方法により算出された貸室及び附属部分のハウスクリーニング費用(床、壁、天井、建具、水廻り及び設備機器等の清掃費用を含む。)、並びにエアコンのクリーニング費用(壁掛けエアコン1台あたり金10000円(税別))を、原告が全額負担すること、②貸室、附属部分及びエアコンの汚損が著しい場合には、上記各クリーニング費用が増額される場合があることを、原告は予め了承する。なお、ハウスクリーニング等を行う業者は、被告が指定する業者とする。
 【ハウスクリーニング費用の算出方法】
・貸室面積35㎡未満の場合、一律3万5000円(税別)
・貸室面積35㎡以上の場合、貸室面積(単位:㎡小数点以下四捨五入)×1000円(税別)

 請求額:ハウスクリーニング費用3万5000円
 認容額:3万5000円

東京地方裁判所令和2年11月27日判決
 ハウスクリーニング特約の有効性を認めた事例
 特約「本件賃貸借契約終了時(退去の際)、被控訴人Y1は、クリーニング費用として専有面積1㎡当たり1000円(税別)の負担をするものとする。ただし、専有面積25㎡未満のクリーニング費用の最低金額は2万5000円(税別)とする。」
 請求額:クリーニング費用5万2910円
 認容額:5万2910円(専有面積61.30㎡に対応するクリーニング費用6万1300円を支払う旨の合意ありと判断)

東京高等裁判所令和3年12月15日判決
 ハウスクリーニング特約の有効性を認めた事例
 特約「原告は、被告に対し、退去時のクリーニング費用として1㎡当たり1500円(税別)、エアコン洗浄費用として1台当たり1万2000円(税別)を支払う。」
 請求額:クリーニング費用及びエアコン洗浄費用8万9851円
 認容額:8万9851円(=【専有面積等の合計46.4556㎡×1500円+エアコン洗浄費用1台分1万2000円)×1.1】

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