A 解雇は会社の一方的な意思表示により効果が生じ、これを撤回するということはできないという裁判例があります。これは解雇の意思表示についての法的性質からの帰結という考え方であると思われます。この考え方では、解雇の撤回には労働者の同意がなければ有効ではないという考え方となります。もっとも、撤回という法形式をとらずに、解雇の効力を争う労働者には、労働者の地位を認めるという意思表示を行うことにより解雇の撤回と同様の効果を発生させることができるとする見解もあります。また、解雇の撤回又は労働者の地位を認めるとの意思表示を行うことにより、それ以降に労働者が欠勤するのであれば、バックペイの前提となる就労の意思がないものとしてバックペイの金額に影響を及ぼすことができる可能性があります。
東京高等裁判所平成21年11月16日決定
解雇の撤回はできないと判断した事例
(判旨抜粋)
抗告人は、上記解雇の意思表示を撤回した旨主張するが、そもそも解雇の意思表示は使用者が従業員に対し一方的に行う労働契約解除の意思表示であってこれを撤回することはできない。また抗告人は、相手方らが撤回に黙示に同意した旨主張するが、相手方らが同意したことを認めるに足りる証拠はない。
したがって、別紙第1記載の相手方について退職していないのであるから退職金債権が存在しないとの趣旨の抗告人の主張は採用できない。

